Trio band dress in white play for a crowd in front of a tree and ocean.
音楽のルーツを辿って

師の音楽を受け継ぎ多彩なメロディーを奏でるハワイアンミュージックグループ「パアハナ」

クリステン・ネモト・ジェイ
写真
AJ・フェデゥーシャ

ハレクラニのハウス ウィズアウト ア キーは、ブランチタイムの賑わい をみせている。オープンエアのダイニングエリアは満席で、賑やかな会 話が飛び交う。ハウス ウィズアウト ア キーで毎週火曜と水曜の夕方 5時30分から演奏しているパアハナのバンドメンバーは、それを気にと める様子もない。良い観客に慣れているのだ。休日にもかかわらず、店 内に座っていた彼らは思わず『プア・アヒアヒ』をアカペラで歌い出し て いた。ハワイの伝説のミュージシャンでカハウアヌフ・レイク・トリオ の 創始者の故カハウアヌ・レイクさんが教えてくれた曲だ。パアハナの 創 設者でウクレレ奏者のダグ・トレンティーノさんは、従兄弟でダブル ベ ース奏者のパカラ・フェルナンデスさんに寄り添って音程を合わせ て いる。そこに普段はスチールギター担当のカイポ・クカヒコさんが加 わ り、店内に優しい歌声が響きわたった。

食事中の客は、彼らのテーブルを一斉に振り返り、突然始まった3 部構成の甘美なハーモニーに静かに聞き入った。レストランのステー ジで歌っている時とは違う光景だが、彼らの音楽に感銘を受ける観客 の顔は今日も同じだ。トリオの歌声がハワイアン音楽独特のファルセッ トボイスのレオキエキエに変わり、ハワイ語の子守歌を優しく歌い上げ ると、彼らの前には沢山の笑顔とスマートフォンが現れた。

歌い終わると、バンドメンバーたちはハワイアン音楽にまつわる思 い出をそれぞれ語った。何世代にもわたる音楽家の家系を持つ彼ら は、複数のアーティストや家族から教わっているため、その歴史はいた って複雑だ。フェルナンデスさんは、200曲以上のハワイアンソングを 作曲した有名な作曲家の故アンティ・イルムガード・ファーデン・アルリ さんの従兄弟にあたる。若い頃を交響楽団のフレンチホルン奏者とし て米国本土で過ごしたフェルナンデスさんは、自らの音楽的ルーツを 模索するため1990年代後半にオアフに移り住んだ。

「ハワイを離れている間、カハウアヌ・レイクさんの音楽を聞いては ホームシックになったものです」とフェルナンデスさんは言う。「ダグは 彼の後輩でした。すでにハワイアンミュージシャンとして活躍していた ダグは、ハワイに引っ越したばかりの僕に音楽を教えてくれて一緒に歌 い出したんです」。

まもなくトレンティーノさんの義理の従兄弟だったクカヒコさんがメ ンバーに加わった。クカヒコさんは、ハイラム・オールセン・トリオの元メ ンバーでハレクラニのハウス ウィズアウト ア キーにレギュラー出演し ていた有名なミュージシャンのジェリー・バード氏からスチールギター を教わった。3人が「働き者」という意味の「パアハナ」と名付けたこの バンドは、優れた才能と仕事ぶりで認められ、2001年12月以来、ハウ ス ウィズアウト ア キーでの演奏を続けている。

20年以上におよぶハワイアン音楽のレパートリーを持つトレンテ ィーノさんは、レイクさんから学んだ音楽をさらに深く掘り下げたいと 考えていた。「レイクさんは私にジャズを教えてくれました」。その影響 でパアハナの音楽にはアフロジャズのサウンドが取り入れられ、仲間 のメンバーたちがそれに反対することはなかった。フェルナンデスさん は「僕にとっては、これまで僕たちが出会った音楽の全てがハワイアン 音楽なのです」という。

トレンティーノさんは、パアハナのサウンドの特徴は、さまざまなビ ートのシンコペーションと多様な歌唱スタイルだという。フェルナンデ スさんの奏でるダブルベースの豊かなサウンドは、ファルセットの歌声 と見事に調和し、クカヒコさんのスチールギターは、ノスタルジックな アイランド調のムードを演出して曲に奥行きを与える。トレンティーノ さんのウクレレは、かつてレイクさんに教わったのと同じ音で完璧なア ンサンブルを作り上げる。かつてバックグランド音楽の脇役であったウ クレレは、カハウアヌ・レイク・トリオの一員であったレイクさんの手によ って、リード楽器としての地位を確率したのであった。

「先輩から受け継いだ音楽なしに今の僕たちは存在しません」とト レンティーノさんは語る。パアハナがハウス ウィズアウトアキーでの演 奏を始めて以来、今年で17周年を迎える。「僕たちは彼らから学んだこ とを生かして歌うことによって彼らを讃えているのです」。

パアハナは、毎週火曜と水曜の午後5時30分からハレクラニのハウスウィ ズアウト ア キーで演奏しています。ご予約をお勧めします。詳細について は、halekulani.jpまたは電話808-923-2311までお問い合わせください。

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Trio band dress in white play for a crowd in front of a tree and ocean.

パアハナはハウス・ウィズアウ ト・ア・キーで夕暮れ時にパフォ ーマンスを行っている。

「働き者」という意味のバンド 名を持つパアハナは、2001年 からハウスウィズ アウト ア キ ーでの演奏を続けている。

「先輩から学んだ音楽なしに今の僕たちは存在しません。 彼らから学んだことを生かして歌うことで彼らを賛美しているのです」と語るのは、 パアハナのメンバーのダグ・トレンティーノさん。

スチールギターでバンドの伴奏 をするミュージシャンのジェフ・ アウ・ホイさん(左)

音楽のルーツを辿って

師の音楽を受け継ぎ多彩なメロディーを奏でるハワイアンミュージックグループ「パアハナ」

クリステン・ネモト・ジェイ
写真
AJ・フェデゥーシャ

ハレクラニのハウス ウィズアウト ア キーは、ブランチタイムの賑わい をみせている。オープンエアのダイニングエリアは満席で、賑やかな会 話が飛び交う。ハウス ウィズアウト ア キーで毎週火曜と水曜の夕方 5時30分から演奏しているパアハナのバンドメンバーは、それを気にと める様子もない。良い観客に慣れているのだ。休日にもかかわらず、店 内に座っていた彼らは思わず『プア・アヒアヒ』をアカペラで歌い出し て いた。ハワイの伝説のミュージシャンでカハウアヌフ・レイク・トリオ の 創始者の故カハウアヌ・レイクさんが教えてくれた曲だ。パアハナの 創 設者でウクレレ奏者のダグ・トレンティーノさんは、従兄弟でダブル ベ ース奏者のパカラ・フェルナンデスさんに寄り添って音程を合わせ て いる。そこに普段はスチールギター担当のカイポ・クカヒコさんが加 わ り、店内に優しい歌声が響きわたった。

食事中の客は、彼らのテーブルを一斉に振り返り、突然始まった3 部構成の甘美なハーモニーに静かに聞き入った。レストランのステー ジで歌っている時とは違う光景だが、彼らの音楽に感銘を受ける観客 の顔は今日も同じだ。トリオの歌声がハワイアン音楽独特のファルセッ トボイスのレオキエキエに変わり、ハワイ語の子守歌を優しく歌い上げ ると、彼らの前には沢山の笑顔とスマートフォンが現れた。

歌い終わると、バンドメンバーたちはハワイアン音楽にまつわる思 い出をそれぞれ語った。何世代にもわたる音楽家の家系を持つ彼ら は、複数のアーティストや家族から教わっているため、その歴史はいた って複雑だ。フェルナンデスさんは、200曲以上のハワイアンソングを 作曲した有名な作曲家の故アンティ・イルムガード・ファーデン・アルリ さんの従兄弟にあたる。若い頃を交響楽団のフレンチホルン奏者とし て米国本土で過ごしたフェルナンデスさんは、自らの音楽的ルーツを 模索するため1990年代後半にオアフに移り住んだ。

「ハワイを離れている間、カハウアヌ・レイクさんの音楽を聞いては ホームシックになったものです」とフェルナンデスさんは言う。「ダグは 彼の後輩でした。すでにハワイアンミュージシャンとして活躍していた ダグは、ハワイに引っ越したばかりの僕に音楽を教えてくれて一緒に歌 い出したんです」。

まもなくトレンティーノさんの義理の従兄弟だったクカヒコさんがメ ンバーに加わった。クカヒコさんは、ハイラム・オールセン・トリオの元メ ンバーでハレクラニのハウス ウィズアウト ア キーにレギュラー出演し ていた有名なミュージシャンのジェリー・バード氏からスチールギター を教わった。3人が「働き者」という意味の「パアハナ」と名付けたこの バンドは、優れた才能と仕事ぶりで認められ、2001年12月以来、ハウ ス ウィズアウト ア キーでの演奏を続けている。

20年以上におよぶハワイアン音楽のレパートリーを持つトレンテ ィーノさんは、レイクさんから学んだ音楽をさらに深く掘り下げたいと 考えていた。「レイクさんは私にジャズを教えてくれました」。その影響 でパアハナの音楽にはアフロジャズのサウンドが取り入れられ、仲間 のメンバーたちがそれに反対することはなかった。フェルナンデスさん は「僕にとっては、これまで僕たちが出会った音楽の全てがハワイアン 音楽なのです」という。

トレンティーノさんは、パアハナのサウンドの特徴は、さまざまなビ ートのシンコペーションと多様な歌唱スタイルだという。フェルナンデ スさんの奏でるダブルベースの豊かなサウンドは、ファルセットの歌声 と見事に調和し、クカヒコさんのスチールギターは、ノスタルジックな アイランド調のムードを演出して曲に奥行きを与える。トレンティーノ さんのウクレレは、かつてレイクさんに教わったのと同じ音で完璧なア ンサンブルを作り上げる。かつてバックグランド音楽の脇役であったウ クレレは、カハウアヌ・レイク・トリオの一員であったレイクさんの手によ って、リード楽器としての地位を確率したのであった。

「先輩から受け継いだ音楽なしに今の僕たちは存在しません」とト レンティーノさんは語る。パアハナがハウス ウィズアウトアキーでの演 奏を始めて以来、今年で17周年を迎える。「僕たちは彼らから学んだこ とを生かして歌うことによって彼らを讃えているのです」。

パアハナは、毎週火曜と水曜の午後5時30分からハレクラニのハウスウィ ズアウト ア キーで演奏しています。ご予約をお勧めします。詳細について は、halekulani.jpまたは電話808-923-2311までお問い合わせください。

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Trio band dress in white play for a crowd in front of a tree and ocean.

パアハナはハウス・ウィズアウ ト・ア・キーで夕暮れ時にパフォ ーマンスを行っている。

「働き者」という意味のバンド 名を持つパアハナは、2001年 からハウスウィズ アウト ア キ ーでの演奏を続けている。

「先輩から学んだ音楽なしに今の僕たちは存在しません。 彼らから学んだことを生かして歌うことで彼らを賛美しているのです」と語るのは、 パアハナのメンバーのダグ・トレンティーノさん。

スチールギターでバンドの伴奏 をするミュージシャンのジェフ・ アウ・ホイさん(左)

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