ハウス・ウィズ・ア・キーの外に佇む樹齢129歳のキアヴェの木が倒れた夜、その数時間後に芸術家であるジョン・コガさんの電話が鳴った。それはハレクラニのエグゼクティブチームからの電話で、折れたキアヴェの巨大な枝をどう処理すべきか、という当面の課題に対して彼のアドバイスを求めるものだった。ホテルの敷地内の芸術作品の展示を定期的に手がけているコガさんは、何らかの形でアートにできると考え、まずは一片も残さず全ての木材を大切に保存すべきだと提案した。
このキアヴェの木に新しい命を吹き込み、永続的な形で再利用するというユニークなアイディアから生まれた初の作品が現在、ハレクラニのチェックインカウンターの前に飾られている。コガさんと草月流いけばな講師の杉岡宏美さんが共同で制作したこの生きたオブジェは、再生木材を組み合わせたもので、花が活けられるように中が空洞になっており、背の高く幅の広い生花のアレンジメントをより一層美しく引き立ててくれる。ある週には、うっとりするような白と赤のアンスリウムに清々しい緑のシダが添えられ、シャンデリアのクリスタルのようにぶら下がる鮮やかなピンク色をしたヘリコニアがアクセントとして活けられていた。また次の週には、まるで花が沸いてくる泉のように新しいディスプレイに入れ替わる。ハレクラニのロビーの中央には常に「調和」というものが形として存在する。
「この特別なキアヴェの木を新たな形で蘇らせたいという思いが込められています」と、この作品の発案と制作を手がけた杉岡さんは語る。2018年の感謝祭の休暇中、杉岡さんとコガさんは、コガさんのマノアの自宅でこのプロジェクトに取り組んだ。ともに芸術家であり、異なる分野を専門とする二人は、自然のありのままの形を生かす感性と厳格な芸術的視点を持っている点で共通している。杉岡さんが手描きした花器のデザインをもとに、コガさんは自らのスタジオで木を伐採し、穴を開け、積み重ね、組み合わせる作業を繰り返し、杉岡さんの意見を尊重しながら実用的な作品に仕上げた。杉岡さんは「彼は私がイメージした構成通りの作品を実際に形にしてくれました」と満足げに語った。
完成した胸ほどの高さのあるオブジェは、それぞれの枝の曲線に沿った柔らかい波状の輪郭を持ち、木本来の自然な質感が生かされている。それとは対照的に、切り出されたままの粗い断面が意図的に残され、作品にメリハリを与えている。バランスと形を大切にするいけばなの感性が取り入れられ、華美すぎることなく控えめでありながら、目を引く存在感を放つ。花器はどんなアレンジメントでも支えられるよう頑丈にできていると同時に、しなやかな生花や植物と一体化するような優雅さを感じさせるデザインだ。それはゲストを迎え入れる「新しい息吹」のようだとコガさんは言う。「ハワイの自然と美しさを象徴するものすべてがこの一つの作品に詰まっているのです」。
キアヴェのオブジェが完成し、ハレクラニのロビーに設置されると、杉岡さんはまるで将棋士が碁盤の上の駒を動かすようにゆっくりとした慣れた手つきで花器の内側と周りに茎を配置していった。彼女のあらゆる手の動きは優雅で自信に満ち、着々と形を作り上げていく。最後の茎を活け終わると、オブジェは辺りに華やかなオーラを放っているようにさえ見える。コガさんにとっては、杉岡さんのような才能ある芸術家の仕事とハレクラニの歴史あるキアヴェの木への畏敬の念を表現する過程を目の当たりにできたことが「何より素晴らしい体験」だったという。
いけばな作家の杉岡さんは、日頃から扱い慣れているハワイの熱帯植物を活けるときも、熟考しながら丁寧に一本ずつ配置していく。それはファン・ゴッホのアイリスやキャンバスに油絵で描かれたオキーフの拡大された花びら、マネのクリスタルの花瓶に入った牡丹に見られるように、有名な古典芸術家が一筆一筆植物や花のディテールを書き込んでいく過程と同じだ。アートの主題としての花と葉は、いつの時代も芸術家や鑑賞する者の心を落ち着かせ、考える機会を与えてくれるものだ。永続的に残るキアヴェのオブジェの中で変化し続ける花のディスプレイも同じである。杉岡さんとコガさんが共同制作したこの作品は、アートが地球そのものから生み出されるということを思い出させてくれる。
バランスと安らぎ、ありのままの自然を象徴するキアヴェのオブジェは、 ハレクラニのロビーで到着するゲストを出迎えてくれる。
「キアヴェの木を新たな 形で蘇らせたかったので す」と語るのはこの作品 の発案者の杉岡さん。
キアヴェの彫刻は、杉岡宏美さんがジョン・コガ氏と共同 で設計したものだ。
ハウス・ウィズ・ア・キーの外に佇む樹齢129歳のキアヴェの木が倒れた夜、その数時間後に芸術家であるジョン・コガさんの電話が鳴った。それはハレクラニのエグゼクティブチームからの電話で、折れたキアヴェの巨大な枝をどう処理すべきか、という当面の課題に対して彼のアドバイスを求めるものだった。ホテルの敷地内の芸術作品の展示を定期的に手がけているコガさんは、何らかの形でアートにできると考え、まずは一片も残さず全ての木材を大切に保存すべきだと提案した。
このキアヴェの木に新しい命を吹き込み、永続的な形で再利用するというユニークなアイディアから生まれた初の作品が現在、ハレクラニのチェックインカウンターの前に飾られている。コガさんと草月流いけばな講師の杉岡宏美さんが共同で制作したこの生きたオブジェは、再生木材を組み合わせたもので、花が活けられるように中が空洞になっており、背の高く幅の広い生花のアレンジメントをより一層美しく引き立ててくれる。ある週には、うっとりするような白と赤のアンスリウムに清々しい緑のシダが添えられ、シャンデリアのクリスタルのようにぶら下がる鮮やかなピンク色をしたヘリコニアがアクセントとして活けられていた。また次の週には、まるで花が沸いてくる泉のように新しいディスプレイに入れ替わる。ハレクラニのロビーの中央には常に「調和」というものが形として存在する。
「この特別なキアヴェの木を新たな形で蘇らせたいという思いが込められています」と、この作品の発案と制作を手がけた杉岡さんは語る。2018年の感謝祭の休暇中、杉岡さんとコガさんは、コガさんのマノアの自宅でこのプロジェクトに取り組んだ。ともに芸術家であり、異なる分野を専門とする二人は、自然のありのままの形を生かす感性と厳格な芸術的視点を持っている点で共通している。杉岡さんが手描きした花器のデザインをもとに、コガさんは自らのスタジオで木を伐採し、穴を開け、積み重ね、組み合わせる作業を繰り返し、杉岡さんの意見を尊重しながら実用的な作品に仕上げた。杉岡さんは「彼は私がイメージした構成通りの作品を実際に形にしてくれました」と満足げに語った。
完成した胸ほどの高さのあるオブジェは、それぞれの枝の曲線に沿った柔らかい波状の輪郭を持ち、木本来の自然な質感が生かされている。それとは対照的に、切り出されたままの粗い断面が意図的に残され、作品にメリハリを与えている。バランスと形を大切にするいけばなの感性が取り入れられ、華美すぎることなく控えめでありながら、目を引く存在感を放つ。花器はどんなアレンジメントでも支えられるよう頑丈にできていると同時に、しなやかな生花や植物と一体化するような優雅さを感じさせるデザインだ。それはゲストを迎え入れる「新しい息吹」のようだとコガさんは言う。「ハワイの自然と美しさを象徴するものすべてがこの一つの作品に詰まっているのです」。
キアヴェのオブジェが完成し、ハレクラニのロビーに設置されると、杉岡さんはまるで将棋士が碁盤の上の駒を動かすようにゆっくりとした慣れた手つきで花器の内側と周りに茎を配置していった。彼女のあらゆる手の動きは優雅で自信に満ち、着々と形を作り上げていく。最後の茎を活け終わると、オブジェは辺りに華やかなオーラを放っているようにさえ見える。コガさんにとっては、杉岡さんのような才能ある芸術家の仕事とハレクラニの歴史あるキアヴェの木への畏敬の念を表現する過程を目の当たりにできたことが「何より素晴らしい体験」だったという。
いけばな作家の杉岡さんは、日頃から扱い慣れているハワイの熱帯植物を活けるときも、熟考しながら丁寧に一本ずつ配置していく。それはファン・ゴッホのアイリスやキャンバスに油絵で描かれたオキーフの拡大された花びら、マネのクリスタルの花瓶に入った牡丹に見られるように、有名な古典芸術家が一筆一筆植物や花のディテールを書き込んでいく過程と同じだ。アートの主題としての花と葉は、いつの時代も芸術家や鑑賞する者の心を落ち着かせ、考える機会を与えてくれるものだ。永続的に残るキアヴェのオブジェの中で変化し続ける花のディスプレイも同じである。杉岡さんとコガさんが共同制作したこの作品は、アートが地球そのものから生み出されるということを思い出させてくれる。
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